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彼らは、官公庁をはじめとして、そのときどきの人気ランキング上位企業から引く手あまた。
不況もなにも関係ない。
好きな企業にいくらでも入れる。
おかげで、日本を代表する上場企業、大企業が集まった経済団体など、そんな学校のOB、OGたちの同窓会さながらであった。
その企業名を見ると、現在の学生たちは首を傾げる。
「○○石炭?石炭なんて、ボク、見たことありません」「○○鉱業セメント?さあて、そんな会社、知らないなあ」「○○製鉄?ああ、重厚長大の典型ですね」こんな具合である。
種明かしをしょう。
会場を埋め尽くしたOB、OGたちが学生であったころは、たしかに一番人気の会社だった。
だから、かつて彼らはエリート中のエリートと羨望の眼差しで見つめられたのだ。
いまでこそ、名実ともにトップ企業であるTヨタ自動車の代表が財界に君臨しているけれども、ほんの少し前までは、時代が変わり、産業構造が変わったにもかかわらず、
かつてのエリートたちが財界首脳の定位置に鎮座していたのだ。
時間が経つにしたがって、昔の一番人気企業がどんどん凋落していった。
挙げ句の果てには、「そんな会社、知らない」と。
現代人から指摘されるに至った、というわけである。
どんな時代も、学生は中学、高校、大学を偏差値偏重で選択する習性が抜けない。
就職の際も「慣性の法則」で、そのとき、入社がいちばん難しいとされる「狭き門」から入ろうとする。
「それでこそ、エリートだ」と評価されることを知っているからだ。
このエリート意識もせいぜい10年、いや、いまや、ほんの3年しか賞味期限はない。
おかげで、次のような親子の会話が日常茶飯となる。
「お父さん、△△社にだれかいい知り合い、いないかなあ」「なんだ、就職か?お父さんの会社のグループでどこか紹介してやろうか?」「いいよ、ダサイから遠慮する。
それに給料、悪いし」「なに!名門だぞ」「知らないよ、そんなこと。
友たちも、お父さんの会社なんて知らないってさ。
それより、△△社を頼むよ。
学生時代の友人でいるじゃないの?お父さん、一応、東大だったのだから」「△△社か。
そういえばあいつ、いま、人事部長しているって聞いたな」「ポンド?お父さんも偉い人と知り合いなのだね?見直したよ」(なに言っているのだ!あいつは学生時代、成績が悪くて就職できなくて、しかたなく△△社に入ったのだ。
だから、オレのことを羨ましかっていたのだぞ)そう言ったところで信じるわけはないから、言わないでおく。
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